2010年11月7日日曜日

学校図書館

小学生が新しい本と出会う場所として書店の次に来るのは学校の図書室でしょう。しかしその小学校の図書室には1953年から2003年まで50年近く「当分の間、司書教諭を置かないことができる。」との暫定的な措置が取られていたため、大部分の学校において司書教諭が置かれずにいました。そのため図書室の管理は、クラスを持っている先生の片手間で行なわれ、図書の購入は出入りの書店にかなり依存するケースが多かったのです。生徒がどのような本を望んでいるのか、貸し出し頻度はどのくらいか、といった検討はほとんどなかったのだと思います。一方出版社にとって、毎年購入の予算が明確にあり、出版社が自社の都合でつけた価格の商品を、アドバイス通りに定価で購入してくれる、こんなおいしいお客様はいません。その結果、書店店頭の競争にさらされることのない学校図書館専用のセット商品が大量に学校に送り込まれていったのです。司書教諭のいなかった図書室は、ある時間以外は鍵がかけられ、一度も開かれること無く埃をかぶったままの本も少なくありませんでした。
子どもの活字離れを嘆く出版社は多いですが、その原因の一端は我々児童書出版業界側にあるように思えてなりません。